前にもここで書いた
地震がくると言われた25日の夜、
(もういい加減こういう騒ぎはやめよう!)
吉祥寺に観に行った。
吉祥寺北口五分の吉祥寺シアターは
高さのある
(これは大事!寺山修司の愛した天井桟敷のように)
これはほんとにいい劇場だなあと思った。
で、
肝心のお芝居。
ちなみにこれは
出演者がすべて女子(とオカマ)キャストのみいう
当初の寺山修司構想とは
(当初は人形劇のためのシナリオだったらしいのでよくわからないけど)
もちろんまったく違う上演形態なはずで、
これが最初は、正直
ちょっとどうも厳しいなあと思って
観ていた。
寺山修司の世界というのは
いわば、
覗き/切り裂きジャック/家出/革命/
キャバレー/トルコ/競馬/サーカス/
見世物小屋/ボクシング...
なんかに代表される
ある意味、完全に男的な(もちろん普通のではなくドス暗い)
キーワードオンパレードな世界で、
それを女性オンリーで表現することへの
期待と不安が
正直、
最初のあたりでは
不安面がどーんときたな...
と思っていた。
何より世界が
汚れていないし
演技も存在感も
すべてが線が細すぎる。
でも、
それが変わったのが
鞠谷友子の登場から。
(これは関係ないけど映画『宮城野』の毬谷さま。片岡愛之助演じる写楽の弟子が愛した年増女郎"宮城野"を演じた。いい女です)
ちょっと時間がないのでここから簡単にいきます。
このアングラ劇に
"伝説の大女優"役として毬谷友子を招いたのは
ほんとうに大正解で
彼女の、
「地下のキャバレーで飲んだくれ男どもを相手に
響かせることのできる歌声」
は
あまりにも高貴で
ゾクゾクするほど俗っぽく
とにかくもう圧倒的に素晴らしかった。
(思わずCDまで買ってしまったもの!)
登場シーンの鏡抜けシーンの色っぽさから
新宿梁山泊の金守珍により
直前で追加されたというキル・ビル演出なんかに
しっかりユマ・サーマンのように応える
情念のアクションに至るまで
たぶんなんの情報もなくこの芝居を観る人でも
しなかやに
優雅に
鬼気迫る情念を漲らせた
彼女を観るだけでも、
お金を払う価値はあると思う。
そして
ねずみ兄弟が活躍し始める中盤あたりから
グッと芝居全体の濃密さも増し
主演の仲間由紀恵似の美少女・今村美乃も
(『ヒミズ』にも出てるらしいのだけどわからなかった。こんど観るときは注意してみます)

どこまでも汚れない透明な存在感が
かえって
極彩色の周囲から浮き上がってて悪くなく
とにかく
意外なほど隅々にいたるまで
キャスト全員が
みんなちゃんとこの悪夢のような寺山ワールドに
馴染んでいた!
物語の進行係でもある
歌/アコーディオンとバイオリンの
黒色すみれも
初めて見たけれど
ほんとにとてもよかった。
ワンマン観てみたい。
そして、肝心のえりえ。
最初「ねずみの役」と思い込んでいて
(この日からチェンジしていたのだ)
「もうひとりの少女」として
ずっと眠っていたソファから突然むっくり起き上がったときには
舞台のリアクションと一緒に
ほんとに「えっ」と
声を上げそうになったよ。
でも
このクセのある少女を
クセたっぷりに怪演。
かなり印象に残る存在感だった、と思う。
願わくはネズミも見たかったなあ。
この「くりみ割り人形」、
来週、30日(月)まで上映してて
わずかだけど当日券もあるようなので
めくるめくアングラ的夢の世界を覗きたい人は、ぜひ。
知り合いが出てるから褒めるというのは
嫌なので
ツマラナかったら
書くのよそうと思っていたけど
これはほんとにオススメです。
ああ、それにしても
毬谷友子、こんなに素晴らしいんだったら
ルイーズを演じた
(僕の大好きなエマニュエル・べアールのやった役ですね。
本質的にとても似てると思う
舞台版「八人の女たち」
死んでも観に行くべきだったな!