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新美術世界 / MAHO KUBOTA

ロイ・リキテンシュタインは間違いなく私の人生の節目で何度も立ち現れるある種マイルストーンのようなアーティストで、最初の出会いは11歳のニューヨーク近代美術館だったけれど、「溺れる女」にはその後なんど同じ美術館で出会っても打ちのめされる、というか、もうすでに「これは私の絵」と一方的に思っているぐらいだけれど、

「溺れる女」

実は私の中でリキテンシュタインでもしもうひとつ「自分の絵」にすることが叶うとしたら、「M-Maybe」も大好きだけれど、それはそのタイトルに象徴されるように何度も夢に見る「夢がメロディに現れる」だと思う。

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Melody haunts my reverie は ジャズのスタンダード中スタンダード「STAR DUST 」の歌詞の一部。

最近のヴォーカリストだと土岐麻子の「melody haunts my reverie。。」部分のさりげない解釈が好きだけど、ここはジャズのハートがないのに嫌になるほど歌がうまい(天才だ)ひばり様の動画でお楽しみください。



ひばり様の歌詞の字幕では「私を追憶の世界に誘うあのメロディ」と和訳されているけれど、melody haunts my reverie 、ってもう少し「ゴーストのように心につきまとうあのメロディ」という空虚なニュアンスにあっているように感じる。
そしてゴーストのように「殺しても、殺しても」立ち現れるある種の思念というものがアートの本質のひとつだとしたら(我ながらちょっと乱暴な論理だが)、一度見たきりなのに何度も意識の中に立ち現れる名作がフィリップ・パレーノの素晴らしい映像作品「Marylin」(2012年)です。

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映像はマリリン・モンローが一時住んでいたというニューヨークの最高級ホテル、ウォルドルフ・アストリアの一部屋から始まる。マリリンの声をデジタルで再現したという声が静かに部屋の情景を語り、彼女の自筆をある種のアルゴリズムのもとコンピュータ再現したという筆致が静かに物語を進めていく。
ナラティブの中で世界が動いているようで実はそこにはまったくに不在で、アルゴリズムに支配された機械的な映像がすでにこの世にいないアイコンの思念を描くという、なんたる挑戦。

に、打ちのめされました。(=打たれ弱いのね)

フィリップ・パレーノはすでに1999年に「No Ghost just a Shell」で世紀末を取り巻く空気のゴーストを描くことにすでに成功している。その時はアノニマス(名前のない)だったゴーストに対し、13年後のこの作品ではアイコンとしてのゴーストが出現するという重みに見終わった後、確かにひきづられたし、すでに4年も経っているのにそれこそ haunts my reverie, 意識のどこかでつきまとわれている気がしていて、とても安易で感覚的なことかもしれないのだけど、アートを通してゴーストをみたいという私のひそかな願いを何度か思い出させてくれるように感じるのだ。

Profile

久保田真帆(クボタ・マホ)

MAHO KUBOTA GALLERY ディレクター。ジュリアン・オピー、安部典子、長島有里枝、ブライアン・アルフレッドほか、国内外のアーティストをリプリゼント。ビジュアルアートの範囲にとどまらず広義のカルチャーシーンとつながるギャラリーを目指しています。アーティストマネジメントのほか、パブリックアートプロジェクトや展覧会企画、コーポレート・コレクションのコンサルティングなど幅広くコンテンポラリーアートに関わる毎日。http://www.mahokubota.com

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